それは、レコーディング第一曲目の『揺れる想い』を4~5回流し、サウンドチェックしていた時のことでした。耳の中に、ちょっと恥ずかしがりながら飛び込んでくる泉水ちゃんの生歌。DelayもReverbもついてない、本当の素のままの声。
昔と同様1mmたりともズレなく添う為、ヘッドフォーンの中のPANは私がL泉水ちゃんはR、レベルは6・4。そして、さぁ本ちゃん録りますか!と集中モードに入り、長戸プロデューサーが「あくまでコーラスではなく、坂井と大黒が並んで掛け合いの様に歌うイメージで進んで。」というオーダーに恐縮しながらも、2~3本“ 正しく歌う ”テイクを録った後、寺尾ディレクターから「もうOKレベルは録れたから、もっとLIVEっぽく歌ってみませんか?」と言われ、二人がステージのフロントに立ち泉水ちゃんの呼吸が読める様半歩下がり、時折目を合わせ共に8ビートを刻むそんな想像をしながら歌い出したら…。
『もしかしている?泉水ちゃんいる?!』と思う程に彼女が傍にいる不思議な感覚と、体から余計な力が抜け歌が溢れ意識せずともぴったりと添い、振り分けはあったけれど『 摩季ちゃんはここお願いね♪ 』と目くばせされて『OK!!ここはお任せあれ!!』なんて、当時と同じやんちゃなイレギュラー、あとは夢中☆彡。
気づけばもう終わり?!という程足早に、心底楽しく感動的でミラクルな時間が過ぎたのでした。勿論私には超能力や霊能力は全くないのですが、スタッフ達も皆「今、坂井さん絶対居ましたよね??!!」と同じ反応だったのが強く印象に残っています。
目を瞑れば耳を澄まし素直に彼女を感じれば、はにかみながら柔らかな海風の様に心へ忍び込み癒してしまう、あの日の坂井泉水マイナスイオンに包まれる。
それからは一曲一曲、『そうだ!あの時、泉水ちゃんこうしてみたいって言ってましたよね☆彡』、『ここ、こうしたらもっとカッコよくないですかね?♪』、『うん、じゃあやってみてくれる? 聞いてみたいな♪』そんな当時と同じやり取りをして、長戸プロデューサーがプレゼントしてくれた真新しいSoundに二人ではしゃぎながら、音を紡ぎ上げて行きました。
真に今ここへ戻って来て欲しいと涙零しながらも、お互い時代を駆け抜け中々会えなかった前よりずっと傍にいてくれている実感の中で自然に、もしも復帰したら泉水ちゃんをCDからLIVEへ連れ出して、一緒に並んで歌いたいと思いました。
本当にミラクルなアルバムです。